「プール育苗」開始。その仕組みとメリット解説(2025年4月26日)

こんにちは、那須田んぼ管理人です。

今回は育苗の次のステップについてお伝えします。 4月17日の記事(→発芽を確認!緑の芽が一斉に(2025年4月17日))で稲の発芽をお伝えしてから約9日が経ちました。ビニールハウスの中の苗たちは順調に緑を濃くし、苗箱の底を見ると白い根がマットのようにしっかりと張ってきました。これが、次の管理段階である「プール育苗(いくびょう)」をスタートする準備が整った合図なのだそうです。というわけで、我が家でもプール育苗を開始しました。今回はその様子と、この方法の仕組みやメリットについてお伝えします。

私は農業未経験ですが、那須塩原で農家を営む両親と暮らしています。専門家ではない視点から、農業のリアルな姿や課題を分かりやすくお伝えし、私自身も学びながら皆さんと一緒に食と農を考えたい。そんなブログを目指しています。

目次

プール育苗の準備と開始の様子

写真①

まず、ビニールハウスの地面に防水シートを広げ、その上に仕切りとなる枠(我が家では木材を使っていました)を設置して、浅いプールのような区画を作ります。
そこに、写真①のように根がしっかり張った苗箱を、隙間なくびっしりと並べていきます。

写真②

全ての苗箱を並べ終えたら、プールの中にゆっくりと水を張っていきます。水の深さは、苗箱の土の表面が少し水に浸かるか浸からないか、くらいの高さに調整するようです。(写真②参照)

これでプール育苗の準備は完了です。

プール育苗の仕組みとメリット

では、なぜこのような「プール育苗」を行うのでしょうか? これは、育苗箱を浅い水に浸けておくことで、箱の底にある穴から常に水を吸い上げられるようにする管理方法です。この方法には、主に以下のようなメリットがあります。

  • メリット1:水やりの手間が大幅に省ける(省力化) 通常、育苗期間中は毎日、天気を見ながら苗箱一つ一つに水をかける必要がありますが、プール育苗ならその必要が基本的にありません。水位を適切に管理すれば、常に苗に必要な水分が供給されるため、水やりの労力を大幅に削減できます。
  • メリット2:苗の生育が均一になりやすい 全ての苗箱が同じ条件で水を吸い上げるため、水の過不足による生育のムラが出にくく、全体として均一で丈夫な苗が育ちやすくなります。田植え後の生育にも良い影響が期待できます。
  • メリット3:温度変化の緩和 ハウス内の温度は日中上がりやすいですが、水には温度変化を和らげる効果があります。プール内の水が、日中の急激な温度上昇や、朝晩の冷え込みから苗をある程度保護してくれる効果も期待できるそうです。
  • メリット4:病気のリスクを減らせる可能性 苗の上から水をかける方法の場合、葉が濡れることで病気が発生しやすくなることがあります。プール育苗では葉が直接濡れにくいため、例えばイネの代表的な苗の病気である「苗立枯病(なえたちがれびょう)」などの発生を抑える効果が期待できる、とのことです。

特に多くの苗を育てる農家にとって、省力化と品質向上に繋がる合理的な方法と言えそうです。

ハウスでの育苗管理と田植えへの準備

プール育苗が始まったからといって、完全に放置できるわけではありません。 水の深さは適切か、水温は上がりすぎていないか、ハウス内の換気は十分か、病気や害虫は発生していないかなど、日々の観察と状況に応じた管理は続きます。

この状態で、田植えが行われる5月中旬頃までの約3週間、苗をさらに丈夫に育てていきます。

プール育苗開始と今後の成長への期待

今回は我が家での「プール育苗」の開始についてお伝えしました。 無事にこの段階に進めて、まずは順調といったところでしょうか。

これから約1ヶ月、苗たちがこの水の上で緑をさらに濃くし、力強く成長していく様子をしっかり見守りたいと思います。

次回の農場日記では、さらに成長した苗の様子や、プール育苗の管理の実際について、詳しくお伝えできればと考えています。

今回もお読みいただき、ありがとうございました。

ビニールハウスで苗たちが育つのと並行して、いよいよ苗たちが植えられる本番の田んぼの方も、代掻き(しろかき)などを終えて綺麗に水が入り、田植えに向けた準備が整ってきました。

5月の田植え本番も、もうすぐそこまで来ているようです。

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